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藻緯羅の庵(過去分)

旧[藻緯羅の庵]より

実践前の株指南[1999]

株指南本文
実践前の株指南 (無断転載、複写はお断り致します) 著者:藻緯羅
- 初版 -     
第1章
 株を買う
 
第2章
 銘柄の選び方
 
第3章
 買うタイミング
 
第4章
 売るタイミング
 
第5章
 相場から利益を得る
 
第6章
 株式相場とは何だ

 

第1章 株を買う

この章は、株は初めてという方のために注意すべき点を示しながら時系列的に株を買って利益をあげる方法について書いてあります。

方針を決めよう

株を買うからには資産を増やしたいと思うでしょう。だれも減らしたくて買うわけでありません。でも、株式市場から利益を得ようとすれば、必然的に損する可能性も得られます。利益を最大にしたいのか、損失を最小にしたいのかをハッキリ定めるのが重要です。両方を満足する方法はないのだと思うことです。適当に利益をあげ、適当に損失を受ける方法はあります。しかし適当ですから、結果も適当で、判断も適当で、結局、損をしてしまう可能性が大きくなります。中途半端は良くないのです。利益最大、損失最小、どちらにするかはあなたが決めることです。「損をしたくないなぁ」と思うなら損失最小を目標に掲げましょう。「一獲千金」を狙うなら利益最大を目標にすれば良い分けです。決めたら、変えてはいけません。この目標は銘柄ごとに決めて構いませんが、最初は混ぜないほうが無難です。混乱するだけです。

株式市場から利益を上げる取引方法には多くの種類があります。最近は新しいものが次々登場し、今後も増えるでしょう。でも、零細個人が利益を上げるにはには基本的な現物取引だけで必要かつ十分です。信用取引も先物もオプションもミニ株も「るいとう」も不要です。しばらくは知らなくてすら差し支えありません。しかし知らないのですから、絶対に手を出してはいけません。絶対に。

 

資金は

資金はどのくらい必要でしょうか。現物取引の取引単位は株主としての権利を主張できる単位株です。従って、買う銘柄によって必要な資金は大きく違います。最低でも20万円ほどは必要ですが、少なくとも100万以上の余裕資金を用意すべきでしょう。できれば500万ほどあれば自由度が増します。特に、利益最大の投資を目指す場合は500万は準備しましょう。これらの資金を借入れてつくるのは感心しませんが、あなた次第です。リスクをしっかり管理できるのであれば問題はありません。余裕資金は借金で準備しても構わないのです。問題はリスクを管理できるかどうかです。しかし、1年後に使う予定の貯金を投入してはいけません。1年後に値上がりしている保証はないし、大きな利益を逃す可能性があります。適当な利益を目指すと損失を招きます。

まとめ
目指すは 利益最大か 損失最小か
現物取引だけで必要十分
借金で買っても、使用予定の金で買うな
次は、証券会社を選びます。

 

証券会社に行こう 

株を買うには証券会社に依頼します。証券会社の店先に「株」が並んでいるわけではありません。株を買いたい時は「買って下さい」と頼みます。ブティックで洋服を買うときのように「売って下さい」と言ってはいけません。あなたは証券会社に「買う」という行為を「委託」しているということを忘れないで下さい。

さて証券会社もたくさんあります。4大証券、準大手、中小。中小には上場しているところとしていないところ、証券取引所の会員になっていないところもあります。証券会社の経営状態を監視しやすいという意味で、近所の上場している証券会社から選べば良いでしょう。委託した証券会社が「倒産」したらやっかいですから。迷ったら、人を探すフリでもして覗いてみて「雰囲気」の気に入ったところにしましょう。通勤途上や、良く行く買物先の近所などがいいでしょう。

決まったら、その証券会社に出向いて取引口座を作ります。最近は行かなくても口座を作ることも出来ますが必ず行って作ってください。百聞は一見にしかず、勉強になります。買う銘柄が決まっていない! それで良いのです。まだ注文はしません。いつでも注文が出せるよう口座だけは作っておきます。口座手数料が必要な場合がありますが年間数千円ですから、これから得る利益に比べれば無視できます。このとき現金や小切手を持参しても良いし必要な時に振り込んでも良いのです。ただ最初の取引だけは注文するときに買付代金相当額が口座になければならないようです。あなたに「信用」ができれば注文が成立したら、すなわち売ってくれる人が見つかってから、お金の持っていけばいいようになります。今は、超低金利ですし投資予定額をあらかじめ入れておいてもいいでしょう。金利が高くなれば、寝かせておかずに他の預金やMMFなどで運用したくなりますが、そんなことに神経つかうより銘柄の選択と売買の時期決定に注力すべきでしょう。口座を出来ると担当者を紹介されます。これからの注文は原則として、この担当者を通じて出します。注文方法や確認方法など、良く聞いておきましょう。口座を作る際に所得税をどうするか聞かれます。これは「源泉分離課税」を選択します。もう一つ、保振制度についても聞かれます。使用することにしましょう。どういうものかについては担当者に聞いてください。ここでは触れません。利益を上げる方法に影響がないからです。担当者が気に入らなかったら変えて下さいと言いましょう。担当者との相性も「儲ける」為の要素です。担当者には、次のお願いをしておきます。

 銘柄推奨の電話などは不要であること。

 注文の結果は判明次第連絡すること。

 持っている株の情報は教えてほしい。

あなたは銘柄の選択も、売買のタイミングの判断も自分でするのです。余分な刺激は百害あるだけです。そして、世の中は変化してます。注文が成立したかどうかで次の行動が変わるわけですから速やかに知らせて貰いましょう。持ってしまうと、関心が高まりますから株を持っている会社の情報には敏感になりますが漏れもあるでしょうから頼んでおきましょう。

銘柄は?

さて、銘柄はどうしましょう。第2章を読みましょう。簡単にいいますと、あなたが良く知ることの出来る会社、良く理解できる会社の株を買うということです。思いつきで良く分からない会社の株を買わないように。

まとめ
近所の証券会社を選ぶ
まず取引口座だけを作る
担当者との相性も大切
買う銘柄は、良くわかる銘柄を
次に、いよいよ買い注文を出します

 

買い注文をだそう 

買う銘柄も決まりました。買う株数も決まりました。いよいよ今日、注文を出します。担当者と打ち合わせた方法で注文を出します。まだ口座に資金をいれてなかったら送金しましょう。売買を委託する際の手数料を加算して送りましょう。手数料は担当者に聞けば教えてくれますし、口座を作ったときに貰った資料に書いてあると思います。担当者が送金が着いたことを確認したら注文が有効になり、取引所にあなたの注文が出されます。注文の出し方も複数ありますが、ここでも一通りの方法で行きましょう。指し値と呼ばれる方法です。

「東芝」を1500円で1000株、買って下さい。
   この注文は、今日限りでお願いします。

この文章の「てにをは」以外は全て必須事項であり、余分な事項もありません。この必須事項に行き違いがあるといけませんから電話注文では担当者は必ず復唱します。それを、よく聞きましょう。あなたの電話は、留守番電話でしょう。でしたら簡単に通話を録音できますから録音しましょう。1週間ほど保存しておけば十分ですが、最初の注文は記念に永久保存するのも良いかもしれません。留守番電話でないのならば、この際、如何ですか。会社員が株をやるための必須アイテムです。

こうやって注文を出してしまうと、あなたのやることはひたすら連絡を待つだけです。しかし、会社に電話を入れられても困るでしょう。そこで留守番電話の活躍です。注文の結果は留守録しましょう。えっ注文が出せない。出勤時間が早すぎるし、途中で電話したのでは録音できない、もっともです。そんな場合はFAXで注文を流しましょう。必須アイテムが増えました。結果もFAXで受けてもいいのですが、帰宅しないとわからないですね。担当者によっては電子メールを使う人もいますが。

無事、注文が出来たと連絡が入りました。これで、あなたも株主です。しかし株主としての権利を主張するためには名義書換が必要です。保振制度を使っていれば自動的に実質株主になってますから何もしなくていいのです。しかし、初めての株主です。株券も見ておきましょう。担当者に株券を引き出す旨、指示してください。数日後、株券があなたの手元に届きます。裏をみると名前が書いてあります。あなたの名前はありません。名義書換が済んでないからです。名義書換は証券会社に依頼することもできますがわずかですが手数料を取られます。時間がとれれば自分で名義書換の手続きに行きましょう。行くところは、買った株の会社ではありません。その会社の指定している名義書換場所に行きます。どこが名義書換場所かは担当者に聞けば教えてくれるでしょう。名義書換には2週間ほどかかる場合もあります。その間は、あなたの手元に株券がありませんから売ることは出来ません。株式投資の基本は長期保有です。その間に少しばかり株価が上がったとしても売ることもありませんから、この期間を気にすることはありません。株券が戻ってくると、裏の株主欄の最後にあなたの名前があります。これで、あなたは正真正銘の株主です。株主総会に出席できます。配当を受け取れます。法律で定められた範囲の経営に関する書類を見ることが出来ます。しかし、おそらくは株主総会で提案をすることはできません。それには多数の株を所有する必要があるからです。

監視です

持ったまま安心してはいけません。その会社の経営環境は変化します。会社の状況も変化します。工場火災があったかもしれません。地震で被災したかも。関連会社が倒産することも。不良品を出すことも。いろいろ、あります。情報収集は欠かせません。また、取引している証券会社の状況もチェックしておきましょう。こちらは前者ほど気を配る必要はありません。あなたの株券は、証券会社にでなく保振機構や手元にあるからです。

まとめ
注文内容の証拠保全を
留守電は必須アイテム
一度は自分で名義書換を
買いっぱなしではダメ
さあ、いよいよ売って利益をだそう

 

売り注文をだそう

売る銘柄も決まりました。売る株数も決まりました。売る株数は買ったときの株数と同じ必要はありません。買うときに一度に5000株を買っても、1000株づつ売ることが出来ます。いよいよ今日、注文を出します。この時株券を持って行くのが原則です。しかし保振制度を使っていれば、株券は向こうにあります。いつでも売れます。買えたとの連絡を受けたら、すぐ売ることも可能です。売り注文の出し方も複数ありますが、ここでも一通りの方法で行きましょう。指し値と呼ばれる方法です。

「東芝」を2000円で1000株、売って下さい。
   この注文は、今日限りでお願いします。

この文章は買いの場合と本質的に1字、違うだけです。担当者の復唱をよく聞きましょう。通話の録音は不可欠です。「売り」と「買い」の取り違えは時に大きな悲劇を生みます。

無事、注文が成立すると4日後に現金を受け取ることができます。待ッチ、いつ売ればいいの?ハイ、それも第2章を読んで下さい。特別な理由がなければ7%以下の値上がりでは売らない。そうでないと委託手数料の方が多くて精神衛生上、良くありません。もっとも、「売り」で大切なのはタイミングです。「買い」は株価です。

まとめ

注文内容の証拠保全を
値上がり7%以上が「幸せ気分」
「売り」はタイミング重視
さて、入った「お金」はどうしましょう?

 

入った現金はドウスル? 

売ってしまうと、心理的に寂しくなります。つまり、また買いたくなります。で、買ってしまうと「底無し沼」が待っています。ある株が、売るべきタイミングに来たのですから、他の多くも近い状態にあるのです。あなたの判断が正しければ、売って、即、買ってはいけません。もし、判断が誤っているなら、買おうとする判断も誤っている可能性が高いと思いませんか。売ったものが上がっていき、買ったものが下がっていきます。そこで、我慢が出来ない人のとる対策は一つ。売って得た現金を引き出し、少なくとも3ヵ月以上の定期性預金にしてしまいましょう。

そして、じっくり3ヵ月、次の戦略を練りましょう。

 

まとめ

売ったら、3ヵ月以上の定期に!

 

 

 

第2章 銘柄の選び方

選ぶ基準

ものごとなんでも、選ぶには基準が必要です。基準がないのならサイコロを振った方が時間の無駄がないというものです。選ぶのに必要なものが、もう一つあります。それは、「情報」です。基準があっても、それに照らし合わせる「情報」がなければ、また、あったとしても極めて不確かだったり「不十分であればないのと同じ」というより、無いほうがましです。かかる状況では、これまた、あれやこれや悩むより、サイコロを振るのがベター。では、ベストは?それは、「株式投資をやらない」ということに尽きます。例えば、基準の一つに資金量があります。投入する資金を200万円とします。その他に、いざという時は娘の結婚資金200万円を応援に出せます(どうも、当分は嫁にいきそうにない)。これも必要な基準です。1回の取引に必要な金額が200万を超えるものは自動的にはずれます。次に、どういう投資をするかということが重要な基準になります。最初に述べたように、実にさまざまな方針が考えられます。そして、併存したとしても矛盾はしません。「管理」が大変になるだけです。「管理」といっても物理的な管理だけでなく「精神面での管理」もです。例えば、企業の将来性に着目してA社の株を買い、同時に短期の上昇に期待して値動きの激しいB社の株を買っている。この、場合、B社の為に、毎日のようの相場をチェックし、時には時間単位でチェックをしなければならない。一方、A社の為には、頻繁な株価のチェックは不要だが、A社の製品の市場環境、経営環境には注意を払わなければならない。それぞれに異変が起きたときの精神的ストレスは相乗的に効いてきます。サラリーマンは、ほかに本業があるわけですから、本業にも悪い影響があるでしょう。例え、セミプロ投資家を自認する人でも、少ない数の「方針」が無難。株価だけに注目し、月曜日に仕掛け、水曜日か木曜日には手仕舞うという「方針」ならば週休3日でポジションのない(=全て現金になってる)悠々とした週末を楽しめます。どのような方針を立てても、その方針が致命的に悪い選択という可能性は極めて少ない。もちろん、性格や環境を考慮してベターな選択はありえます。それは、次のセクションの中に書き込めてあります。ここで、重要なのは、決めた「方針」にこだわるということです。次にセクションを読んでも決め兼ねているなら取り敢えずサイコロで決めてしまいましょう。

まとめ

銘柄を選ぶ前に「方針」を決めねばならない
銘柄を選ぶには十分な量の十分に正確な情報が必要
「方針」は少なければ少ない程よい。

銘柄かタイミングか 

株式投資は難しくない、安く買って高く売るだけです。株価は上昇と下降を繰り返しますが、その企業が成長し続ける限り傾向としては上昇を続ける。このことは買って持ち続ければ、利益が出てくることを示しています。しかし、だれも皆、値下がりしている株を保有しているのは辛い。しかも、さらに下がるかもしれないと不安を抱きながら持つのはなおさら辛い。従って、効率や精神衛生上は「買い」にもタイミングというものがありますが、最も重要な決断は「銘柄の選択」です。これを誤らなければ「買い」には失敗はないといえます。対極にある考え方として、株式相場の流れをつかめれば銘柄選択は大きな要素ではないと考えることもできます。全体が上昇基調にある時は、ほとんど何を買っても買った銘柄の株価は上昇します。しかし、その流れを100%掴むのは不可能と言っていいでしょう。ごく普通に、上昇を始める時期を掴むのは遅れ、下降を始める時期を掴むのも遅れます。つかめたと思っても上昇の幅が小さく、手数料がも出ないということもあります。売った株価と買った株価の差が、手数料を下回ってしまうのです。零細投資家では3%程度の手数料を含めて考える必要があります。波動や相場変動のリズムや傾向はグラフを描いて判断することが多いのですが、転換する時期を正確に掴んだとしても、それに従って売買するのは困難というべきでしょう。なぜなら心理的に相場に負けてしまうからです。なぜ負けるかというと、どんな読み取り手法も100%読み取れないからです。加えて、グラフや理論が買い指示を出していても、その様な場面では相場の雰囲気は弱きムード一色であり、極めて買いにくいのです。結果、高いときに買い、安いときに売ることになりかねません。すなわち、リズムによる売買には「予測の困難」と「心理の圧力」という二重の弱点が伴うのです。しかし、タイミングより銘柄選択を重視する方法では収益向上により株価のグラフは右方上がりになりますので、株価という意味では予測の必要はありません。すなわち「予測の困難」は小さくなります。また、下がったときには「まだ、下がるかもしれない」という不安ではなく、こんな良い株をこんなに安く売ってくれるの、ありがとう」という心理になります。また、上がりすぎた場面では、「こんなに高く買ってくれるのなら売ってあげましょう」という心理になります。故に「心理の圧力」も小さくなります。従って、「方針」として「成長銘柄に長期的視点で投資する」がサラリーマン投資家に向いているでしょう。その逆に、リタイヤしている人、セミプロの方には、「方針」として「期限を限った短期の投資をする」が向いているでしょう。理由は、リタイヤすると情報収集能力が衰えることが多いからです。またサラリーマンのように週に決まった休みがないので、年から年中「相場」が頭から離れないといことになるからです。思いきって、休んでしまう必要があるでしょう。

まとめ

サラリーマンは、銘柄優先の長期的投資で「本業」への悪影響を阻止
リタイヤ組は、タイミング優先の短期的投資で「やすらぎ時間」を確保
 

やっと銘柄えらび 

銘柄優先を強いものにするには、下がろうとも楽しく持て、安心して持てる銘柄(=会社)を選ぶことです。

そう、人生、最愛の伴侶を探すのと同じことです。一緒にいて楽しい人、安心できる人がいいですよね。

すなわち、

惚れ抜ける会社をみつけましょう。(その為には「情報」があることが重要ですよ)

自分にピッタリの人は、無理に探しても見つからないものです。意外に身近にいたりします。あなたが「買うべき銘柄」も身近にあります。マヨネーズにメがなく、ごはんにかけて食べるあなたには、キユーピーはいかがでしょう。キユーピーは口に合いませんか、では、味の素をどうぞ。毎年、毎年、冬がくるたびに。ベンザのお世話になっているあなたには武田薬品はどうでしょう。ベンチシートの車がほしくてたまらないあなたには本田技研はどうですか。その会社は成長しそうですか。あなたが普通の人ならそう考える人も少なくないでしょうから、その会社も成長することでしょう。

近くに大手スーパーが全部ある。ならば、どのスーパーが一番商売上手か、実地に知ることができますね。目の前が、半導体工場。ならば、従業員の動向を自分の目で確かめられますね。

また、こんなのはどうでしょう。「できることなら入社したかった」そんな会社はいかがですか。入社を決めるために一生懸命調べたことでしょう。事業に将来性があり、従業員を大切にしている。そんな会社だから入社したかったのでは、ないでしょうか。そんな会社は成長するでしょう。

将来成長する会社を見抜こうというわけですから、あなたが良く知っている分野で探したほうが良いでしょう。理由は、早く情報が入るということではありません。自分の会社、自分の関与している会社や業界の会社の情報は「早く」入るかもしれませんがインサイダー取引になってしまうかもしれません。重要なのはあなたに届く情報の「早さ」ではなく、その情報を正しく評価し分析する「能力」があなたにあるかどうかです。凡人の能力は限られますからあなたの得意な分野に絞ってデータを収集し、有望と思われる会社を探したほうが、良いのです。株式投資で生涯、成功して財産を残した人は、情報を「早く知った」からではなく、「正しく分析した」からなのです。

それにしても、きっかけといいますか最初の視点が必要です。それは日常の生活の中から得ましょう。新聞で2000年問題が話題になった。わが家のパソコンは大丈夫なのだろうか?そんな心配を取っ掛かりに、企業では?誰が直すのだろう?どの程度の仕事になるのだろう。そんなことを考えて関連会社をリストアップします。そんな新聞が書いたときは、もう遅いのでは?そんなことはありません。問題は、その状況です、この場合2000年問題がどのようなもので、関連市場にどのような影響を与えるどうかです。2000年問題に関してはマスコミに登場してからじっくり調べて分析する時間がありました。少なくとも株価上昇という意味では十分、間に合いました。賢明な投資家は1996年位から注視し、タイミングを見ながら投資をしていく。そして1998年には売り時を考えている。買う理由を正しく分析していれば1999年以後、その会社の業績がどうなっていくかの分析も正しくできるでしょう。

この選択法では、業界新聞も専門雑誌もいりません。あなたの感性と普段の知見が選びます。ですから一般的に専門家が良いという銘柄と一致しないかも知れません。しかし、一般にこのような記事は比較的近い将来を念頭に書かれています。あなたの感性に選ばれた会社は、長期的に成長し利益を増やしていく可能性が大きいでしょう。株式専門雑誌の専門家は株の専門家であっても、その業界の専門家ではないのです。一般に財務は苦手でも、会社を取り巻く環境は、あなたのほうが正確かつ詳しいといえます。いな、そのような銘柄を選ぶべきなのです。

繰り返しますが、成長する会社の株価は上昇しやすいのです。持っていて楽しい銘柄にしませんか。株価が下がっても安心して持っていられる銘柄、下がった時も自信を持って買って増せる株式を持ちましょう。さらには株価が上昇していっても売りたくないような株を持ちましょう。値上がりしたら売ろうなんて姿勢で選ぶと下がると売りたくなるし、持っていたい株でないから楽しくない。上がると、売ってしまうので、売った瞬間は楽しいが、持ち続ける楽しさは味わえないし、売った株価よりさらに上がると口惜しささえやってくる。

そんな方法で利益があがりますか?あがるかどうかは運次第で、結局、損をするのではありませんか?確かに、あまり皆とかけ離れた価値観を持っていたりすれば、その危険はないわけではありません。それでも、あなたには将来を見通す力はあるかもしれませんよ。新商品が売れるかどうか良く当る気がする。二つの商品があった時、どちらが売れるかよくわかる。新しいサービスが出来たとき伸びるかどうかわかってしまう。そんな、あなたはこの方式で選んで大丈夫だと思います。

では、そんな、あなたでないあなたはどうしましょう。とるべき方法は三つあります。

 株には近づかない/リズムによる売買を身につける/先の読める人を友達にする

このうち、最後は友達を失ったときに株も止める覚悟が必要です。最初では、ここまで勉強したのだから、ちょっと寂しい。でも、家族そろって、世の中のハヤリをはずすようなら、最初の方法が無難です。もっとも、いつも完全にハズすなら逆をやればいいのですが、この逆をやるというのは、とても難しいことなので、ここはヤッパリ本業に精を出してリタイヤしてからまん中の、タイミング重視の方法での株式投資を考えることにしましょう。

さて、こうやって、選んだら複数銘柄見つかった。でも、一つに絞れない。全部が同じように成長するならサイコロで選んでもいいし、好みでいいわけです。しかし、当然、よく上がるもの、そうでないものが出てくるでしょう。やはり、一番、上がるものを選びたい。でも、選べないから複数になっているのです。そこから、絞るには「情報」が足らないのです。あなたのできることは、次の三つから選ぶことです。

 さらに「情報」を集める/サイコロで選ぶ/全ての銘柄を買う

このうち、最初の方法はたいていは無理です。もう、できることはやったと思えるからです。まだ残っていたとしても、時間や金がかかるのではないでしょうか?最後の方法を選ぶ場合、やはり迷いがあるはずです、1ヵ所に集中したほうが効率がいいのでは、それはそうですが、「情報」が足らない以上「リスク」が伴います。その辺のところを迷いに迷っての複数銘柄なのです。そこで、買う銘柄数も含めて、後は思いきってサイコロにしてしまいましょう。資金量に達するまで、「出た目の銘柄」を買います。

まとめ

銘柄は身近な所から選びましょう
   絞り込んでも、絞れないならサイコロがある
   でも、選べそうにない方は、本業をまっとうしてからに
さぁ、で、いつ買うんだ?

 第3章 買うタイミング 

売買のタイミングは、銘柄選択と同じくらいに重要です。
結論から言えば
買いのタイミング=買う理由のある株を見つけた時
売りのタイミング=買った株の理由がなくなった時
別の観点からは
買いのタイミング=買いの目標値で買えるようになった時
売りのタイミング=現金を必要とする予定が明確になった時

さあ、今までの勉強で欲しい株の銘柄が決りました。では、いつ買うか。原則は、即です。

株価は、業績に比例して上がっていきます。全体の相場が上がっている時は、少しは割高になっているかもしれませんが、過去3年間くらいのグラフを見て、異常な程の値上がりをしているように見えなければ買って大丈夫です。でも、そこから下げる時が、あります。相場全体が大きく落ち込んでいく時は、つられて下がっていきます。たまたま、銘柄を見つけた時が、そんな時なら、チャンスです。喜んで買いにいきましょう。また、わけもなく下がっている時もあります。取り引きされる株数が少ないような銘柄では、しばしば見られます。そんな時も、チャンスです。但し、選んだ会社が大丈夫なことは、普段から観察しましょう。

それでも、実際に行動を起こすかどうかは、裏をとるといいますか、個々の条件を再検討する必要はあります。しかし、情報を集めるのであって、悩んだりして時間を費やしたりする必要はないし、まして逡巡は無益です。

基本原則は、即決です。その銘柄に価値を見い出したのは、貴方が最初かもしれないのです。

さて、買うと決めても、どのくらい買うかという量の問題があります。1単位しか資金がなければ悩むことも考えることもないのですが、「不幸」にして、資金が豊富な場合は、悩むことになります。悩むのは無駄です。先の値動きを正確に予見することはできません。そこで、毎週1単位といった調子で定期的に欲しいだけ買います。これは、毎日、十分な取り引きがある銘柄に対して良い方法です。しかし、毎日は取り引きができないような銘柄に注目してしまったら、定期的に買うのは無理だったりします。そこで、売ってくれる人が出てくるまで待ちます。高すぎると感じたら、積極的に買ってもいいし、待ってもいい。どちらが成功するかは結果論です。

売買の決断、すなわちタイミングを決定するのに忘れてはならないのは、

「底値で買うことはできないし、天井で売ることもできない」

と考えることです。
そして、
株が買えた時には、何らかの理由で売った人がいるということです。
    その理由は、「現金がいる」、「もっと下がる」、「売らねばならない」
のいずれかのはずです。
「もっと下がる」という人が多い時は、すなわち「出来高が多い」時は将来も下がりそうに思われます。しかし、商いが成立したということは「もっと上がる」という人も多かったはずです。ここで、「多い」といっても「株数」に関してしか論じられません。決断を下した「人」の数は不明です。

相場は、参加する人の事情と心理によって形成されます。このうち心理を除外して売買タイミングを計ろうと、過去、多くの「チャート」が開発されて来ました。しかし、100%、正しい結果を出すものは存在しないと考えたほうが良さそうです。しかし、過去については、その様子を、わかりやく見せてくれるので、多いに役立つはずです。しかし過去を見るのに役立つのであって、未来を示してくれるものではありません。

まとめ

銘柄を選んだら、即、買いましょう
   資金が十分なら、時期を分けて買いましょう
で、いつ売るんだ?

第4章 売るタイミング 

いつ、売るかと言うと、ズバリ、お金が必要にる時期がわかった時、買ってくれる人がいる時に売れるだけ売りましょう。今、ひとつは、せっかく銘柄を選んだのに、その会社が予期したように業績を上げないと思った時です。儲かったから売るのではないのです。これ以上、損をしたくないから売るのであり、お金がいるから売るのです。間違っても、下がってから、買い戻せば、より儲かるなんて考えて、売ってはいけません。そして、売る時は、原則として、全保有株をまとめて売ります。あまりに量が多いと買う人が見つからないかも知れませんが。買う時は、ゆっくり買い足してもいいのですが、売る時はできるだけ短期間に手放します。未練を持ってはいけません。

もう、まとめです。

まとめ

売るのは、現金が必要だとわかった時
   選んだ銘柄の、選んだ「理由」が消滅した時
   それだけのこと。

第5章 相場から利益を得る 

難敵は自分自身です

第3章や第4章で述べたタイミングは、株を売る、株を買う、という一元的な視点での話です。株価は常に変動し相場を形成しています。この相場から利益を得るには、安く買い、高く売らなければなりません。相場は、企業の業績に無関係に大きく動くことも多いし、相場は心理戦ですから、高い方にも、安い方にも行き過ぎるのが常です。そこから利益を得て、最後まで勝者でいることは、かなり難しいことです。一番の難敵は、自分の心理です。

消極的分散投資になってませんか

通常、複数銘柄を注視し、保有し、また、複数の株を保有しているわけです。銘柄が複数になるのは、危険分散以外の何者でもありません。複数のうち最も値上がり効率の良いものがわかるのであればそこに集中すればいいのです。しかし、急に現金が必要になり、売らざるえなくなった時、あまり商いのできない時だと、売るに売れないという危険もあります。毎日、平均、1万株しかできないような銘柄に5万株も投資したら、そういう羽目に陥る危険があります。しかし、多くの場合、そのように積極的に分散させているのでなく、結果として分散してしまいます。他の銘柄が良く見えて、買ってしまう。下がっても全部は売らないで、一部を上がるかもしれないと残しておく。そして、一部を売った現金で、また、別の銘柄を買う。こうやって、消極的な分散投資をしてしまうことが多いのです。

従って、資金量や対象とした銘柄のふだんの取引量に依存してのみ、分散投資をするべきです。これと決めたら、それらの銘柄に集中して投資します。もちろん、集中するのは銘柄であって、情報収集の目や耳は広く分散させていなければいけません。その銘柄が変調を来す予兆は、かなりの周辺にみられる可能性が十分ありますし、次の銘柄の発掘の備えも怠れません。

同一銘柄での危険回避法とは

さて、同一銘柄を複数株を保有する場合は、部分的に売買することにより危険分散と効率アップを計ることができます。魅力に気がついたら、まず1単位、買います。高くても安くても、毎日とか、毎週買って、目標株数を入手します。安値で全部買えればいいのですが、その株価をつけるかどうかということもありますがその株数を買えるかという問題もあります。最安値は、1単位しか商いができなかったかもしれないのです。そして、その銘柄の動きのクセを見つける努力をします。成長する会社を選んだわけですから基本的に株価は上昇を続けますが、かなりの波を打つ場合も多い。成長が緩慢な場合、ブレが大きい場合程、大波となるようです。そのクセは、銘柄ごとに違います。もちろん、似たようなクセを持つものも、あります。

そこで、一時的な高値を売り、安くなったところで買い戻します。この時、全部を処分すると、くやしい思いをすることが多い。なんといっても魅力があると考えて買ったのですから上昇します。そこで部分的に処分します。このようにして得た現金で新たな銘柄を買ってはいけません。もし、新たな銘柄を発掘したなら、交代されるべき銘柄を全株、処分すべきです。買い戻すことは、考えないことです。でないと、消極的分散投資に陥ります。

次なる問題は、どの程度を売るべきかということです。これは、現金と株とのバランスを考えながら、決断していきます。原則は50:50です。株価が上がっていくと、何もしなくても株が60現金40となっていきます。そうしたら、定めたタイミングで
売却して50:50に近づけます。株価が下がっていくと、何もしなくても株が40現金60となっていきます。そこで、買い戻しやはり50:50に近づけます。この50:50も全体の相場で変化させるべきです。天井圏内では株20現金80、底値圏内では株80現金20といった具合に。

「心理」に勝つには 

さて、「定めたタイミング」とは、なんでしょう。本来はクセを見つけるべきですが、乱暴な言い方をするなら、それは、何でもいいのです。10%上がったら、チャートがある状態になったら、高値から10%下がったらでも、要は、確たる理由なく、その基準を、絶対に変えないことです。

目標とする「現金と株との比率」についても同様です。日経平均のチャートがこういう時は、株を増やす方向に、といった具合です。まさに十人十色ですから、ここでは具体的には示しません。ようは確たる理由なく、それを変えないことです。筆者の場合は独自に計算している、エネルギー収支に着目してます。

株で儲けるには、「情報」と「心理」が決めてです。「情報」には地道な努力が不可欠です。「心理」には、「チャート」や「過去のメモ」が不可欠です。「過去のメモ」とは、過去、考えたことをメモしておくことです。

さて、いつも、迷って迷って逡巡して、「朝令暮改」や「君子は豹変す」を連発し、かと思えば、下がっていくのを明日は、少しは戻るだろうと持ち続け、ついには、もう少し下がるかもしれないからと数%の利益を皮算用して売ってしまい、そこから反騰されてしまい、買い戻し損ない、上がり続けられ、まだ数%の上値はあると買い戻してしまい、結局は数%の利益では我慢できず、持ち続け、底から「つるべ」落としにあってしまう。運が悪いのか、勉強が足らないのか、それとも向いていないのか。それは、運が悪いのでもなく、勉強が足らないのでもなく、自分の満足を知らないのです。己の満足を知ることができないとするなら、強いて言えば向いていないということになりますが。

では、「己の満足を知る」とは、どういうことでしょうか。それは、自身が、株式相場から、どういうように利益を得たら満足できるかということを認識することです。買った銘柄が上がれば満足できますか?自分の保有株が10%上がった、一つ上にある銘柄が30%上がっているが、それでも満足できますか?幸いなことに1ヶ月で3倍になる銘柄に投資してバッチリ最高値で売りました。でも、資金量の1割でした。それで、満足できますか? タラレバで不満足であれば、あなたは「己の満足」を知りません。過去を目標にしても、どうにもなりません。未来に具体的な指標を据えて、その到達によって満足すべきです。例えば、ある銘柄への投資を決断し、30%上昇で利食い、10%下降で売りと指標を据えたら、そのまま株価は下落しても、90%の株価でキッチリ損切りできたら「満足」すべきなのです。なぜ下がったのだろうと、考えて時間を費やすのは無駄というものです。株式相場に絶対はありませんから、多くの時間を費やして新しいルールを付け足して、次の銘柄を発掘したとしても、上がる確率が高まった保証は、どこにもありません。

まとめ
消極的な分散投資に陥らないこと
定めた方針を、むやみ変えてはならない
自己の心理に負けない為の「過去のメモ」
己の満足が、何かを知る必要がある。

第6章 株式相場とは何だ

さて、第5章で「己の満足を知る」ということで、己の方は片付きました。では、もう一方、すなわち、敵を知らなければ「百戦、危うからず」とは行きません。最も、敵を知ったとしても、己の満足を知らなければ、株式投資で「満足感」は得られず、いずれ「心理戦」の敗者になってしまいます。本来、株式相場は企業が活動資金を調達しやすくする為に生まれたものです。株式を、いつでも現金化することができれば、それだけ、投資しやすくなりますからです。そして取引所が審査をすることにより、より広汎な人が気軽に株式を買えるようになり、それが、投資をしやすくします。しかし、現在は、会社や事業に対する投資と言うより、株価に対する「投資」に変容しているように思います。ここで、述べた投資手法は、会社や事業に対する投資という視点によるものです。従って、「株価に対する投資」に株価のブレに注意する必要があります。注意するという意味は、会社と株価が必要以上に乖離する可能性が増しているということです。しかし、それを抑えるものとして、先物やオプションがあります。これらの取り引きが充実してくれば、乖離は抑えられると考えています。一方、インターネット取り引きなどにより、小口の参加者が大量に供給されると群集心理が働きますから、こちらは波乱要因、つまり乖離を増幅させる要因となりえます。

株式相場は、資金調達の場所であると同時に、投資家がリスクを回避する場であり、投機家をリスクをとって利益を上げる場であるわけです。


これで、一応、脱稿とさせて頂きます。多くの書物が参考にされているはずですが、特に引用したものはないので参考文献は省略させて頂きます。
御質問、御意見などは、藻緯羅まで。いつか、Q&Aをまとめようと思います。


脱稿年月日 1999年6月

Niftyのサービスが終了するので、藻緯羅の庵(2005)よりコピーしました。

 

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